ル・コルビュジエ ラ・トゥーレット修道院に宿泊
ル・コルビュジエ Le Corbusier設計の
ラ・トゥーレット修道院 Couvent de la Tourette
フランスのリヨン郊外にある、カトリック ドミニコ会の修道院。
1953年に設計が開始、1956年着工、1960年竣工。2016年ユネスコ世界文化遺産に登録。
この修道院、事前に予約すると宿泊ができます。
宿泊してきました。しちゃいました。
内部の見学は宿泊するかガイドツアーでのみ可能。休みの日があるようなのと、ガイドツアーは季節によって曜日が決まっているので、行く前に公式HPを要確認です。
コルビュジエの建築群があるフィルミニに行ったときと同じく、Lyon Perrache駅から出発。
SNCFのTERで30分ほどのL'Arbresle (ラルブレル)駅へ。8.4ユーロ。
なお事前にほかの方のブログなどを見たところ、Lyon Gorge-de-Loup駅からの方が電車の本数が多いみたい。運賃も安い様子。メトロでGorge-de-Loup駅に行くことも考えたが、ホテルがPerrache駅だったのでそのまま一本で行くことにした。
駅前にタクシーなんぞいないので坂道をひたすら徒歩で向かう。普通に歩くと30分ほど。行きは登り坂、帰りは下り坂。
行き方はgoogle mapで出てきた通りに歩いていると、途中途中に看板があるのでわかりやすい。
バックパックを背負ってプチ登山状態。暑い、暑いぞ。この時点でまだ記録的熱波に気づいていない。途中の景色がとてもきれい。
道中に看板があるので迷子にはならずに到着。最初は雑誌なんかでよくみるファサードとは違う面が見えてくるのですが緊張してくる。
このときは暑さと荷物の重さで休憩を挟みながらだったので45分くらいで到着。
受付(オフィス)とちょっとした売店があるので、まずそこに行きます。
13:00過ぎに到着したのだけれど、このときは13:30に受付が開くということだったので建物の周りをウロウロ(ちなみに先ほどホームページを見たらオフィスのオープン時間が10:00-18:00になっていた、シーズンで変わるのかこのときたまたまだったのか)
ジダンみたいなおじさんに会ったので「ボンジュール」なんて挨拶したりしながら進んで行くと建物が切れ、振り返るとあの立面が。真正面から見るためにバックパックを背負いながら斜面を降りるとこれです!
おお!しかしちょうど草刈機が駆け巡っていたのでちょっとだけ。13:30になりそうだったのであとでの楽しみにして受付。
エントランスの前にあるベンチに座っていると、職員の女性が来てドアを開けてくれたので後に着いて受付に入ります。
名前を伝え宿泊料(夕朝食付)54ユーロを支払い。
『日本人?』と聞かれたのでイエスと答えると、説明と平面図が書いてある日本語のパンフレットが。ありがたい。日本人けっこう来るんだろうなあ。
そして平面図に沿って宿泊する部屋の場所や建物内について時にはメモをしてくれながら丁寧に説明してくれました。英語で。ありがたい。
また18時からと翌朝にもミサがある旨と、参加したかったらもちろん参加できるわ、ただ静かにね、と(もちろんミサに限らず建物内は静かにですが)この夜と朝のミサ2回とも参加したのですが、本当によかった。ありがとうございました。
翌日は9時にチェックアウトだったので、受付を出る前にポストカードと本を購入。
オフィスを出て修道院の建物に入り、まず、宿泊する部屋へ。ドアを開けると左手に洗面器、その向かいにタオルと毛布、シーツが入った簡素な棚があり、その棚の後ろにベッド。部屋の奥には窓とバルコニーに出る扉、窓の前に机と椅子。
さっそく荷物を降ろしてバルコニーに出てみる。先ほど受付を通り越して歩いていた道に面している部屋。
中に戻りコンベックスを出してさっそく測量してみると、天井高がほぼ2160mmジャストで感動。(天井の仕上げが荒い塗りなのでぴったりというわけではなかったけど)2160mmとはコルビュジエのモデュロールによる天井高さ。
さっそく建物内を歩くことに。トイレとシャワーは共同なので位置を確認した後、長い廊下を通り、平面図で入って良い部屋となっていて、かつ空いている部屋を順番に回って行きます。
そして礼拝堂へ。
月並みな感想ですが、ハッと息を飲むような美しさ。照明器具がなく、限られた開口からの光でこんな空間になるんだ、などと思いながら歩いていると、自分が歩くコツコツとした音だけが響いて目頭が熱くなってきた。
なお光の大砲はガイドツアーでしか入れない地下礼拝堂の上に位置しているので、真下からは見ることは出来ませんでした。横からは見ることが出来ます。
建物内を一周したあと、外に出て建物の周りを一周。あの立面を見ていると、バルコニーに人影が。あとでわかったのですが、その面した部屋に宿泊している方でした。
18時になりミサに参加するために礼拝堂へ。端のほうに座っていると中央あたりに座っていたフランス人マダムがもっとこっちにいらっしゃい、と手招きしてくれたので移動し座ると、近くに置いてあった賛美歌の本を手渡してくれた。待っていると修道士さんたちが順番に入って来られる。美しいの賛美歌が礼拝堂内に響いてとても厳かな時間でした。
ミサが終わり、そのまま礼拝堂近くの食堂で夕食を頂く。この日の宿泊者は9名。テーブル2つに別れ、1つにフランス人マダム6名の団体、もう1つのテーブルでドイツ人男性と昼間に挨拶をしたジダンみたいなベルギー人男性とご一緒した。
つたない英語で話したところ、二人とも建築関係の仕事をされている方ではなかった。建築関係の人が多いのかと勝手に想像していたけどそうでもないようで。そりゃそうか。でも途中チャンディーガル(インドにあるコルビュジェ作品)の話になったり。
何泊するのか聞かれて、1泊と答えたら、1泊?少ない!と言われたので2人に何泊するのか聞いたところ、ドイツ人男性は2週間、ベルギー人男性は5泊とのこと。たしかに1泊じゃ足りなかったなあ、と翌朝出るときに思ったのでありました。
夕食が終わり部屋に戻るともう外は真っ暗。部屋には洗面器の上と机に置いてある電気スタンドしか照明器具はないので、その照明を点けるとまるで洞窟の中にいるような空間に。ベッドに寝転がりパンフレットを見ながらゴロゴロ。虫の声が聞こえるほかは物音もしない。
明日は早く起きなければ、と思いつつ興奮してなかなか寝付けなかったが、そのうち眠りに落ちた。
翌朝6時過ぎに目が覚め、シャワーへ。
部屋に戻って荷物を整理し、部屋を整えて7:30少し前に礼拝堂へ向かいミサへ。
昨夜とはまた違った朝の光の中で賛美歌を聞く。
その後食堂へ行き朝食。朝食は夕食とは異なり、セルフでバケットを切り、チーズを頂く。ドイツ人男性はおらず、ベルギー人男性と同席させてもらい軽い朝食をとり、去り際にお互い良い旅を、と言って食堂を出た。
部屋に戻り、また写真を撮りあっという間に9時に。もうすこしゆっくりしたかったなあ、次来るときは何泊かしよう、なんて考えながら部屋をあとにした。
受付に誰かいたらもう少し見てもいいか聞いてみようかな、などと思いつつ修道院の建物を出てオフィスを覗いてみたが、誰もいないので最後に外観をぐるっと見ることにした。
歩き出したところで、ばったりドイツ人男性に会い、よい旅をと声を掛けてくれたので、あなたもよい旅を、と別れた。
途中バックパックを降ろして写真を撮りながらぐるっと建物の周りを一周してから駅へ向かう。
帰りはずっと下りなので行きよりずいぶん楽だった。暑かったけれど。30分くらいだったかと。
1泊だったけどよいステイだったなあ。次来るときはもっと長く滞在しようと思った滞在でした。
次の目的地に向かうまでの電車まで1時間半ほどあったので、駅の反対側を歩いてみることにした。googlemapを開いてみたが、とくになにかあるわけでもなさそうな。田舎町だけど駅前だからなのか小さなお店と家が並んでいる。しばらくウロウロしたが、暑さで参ってきたので駅に戻ることにした。
電車の本数も人も少なく、ホームのベンチに座って時間を潰していると乗るべき電車がやってきた。この電車に乗って、同じくル・コルビュジエが設計したロンシャンの礼拝堂のあるロンシャン駅へと向かったのでした。
ル・コルビュジェ ラ・トゥーレット修道院−1953-60 リヨン (World Architecture)
- 作者: 栗田仁,宮本和義
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