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メキシコにはタコベルがない -2回トライし撤退の歴史-

メキシコには Taco Bell タコベルがない。

メキシコのスシはカリフォルニアロールのようなものが多い。もちろん握りもあるけれど、日本食レストランくらいにしかないと思う。日本料理と中華料理と韓国料理が混ざっているような謎のアジアンレストランは、だいたいスシもしくはSushiと銘打ったカリフォルニアロールのような巻き寿司がある。

極端なのはクリームチーズとキュウリか何かの野菜を米で巻いて、マンゴーとかイチゴがのっているものなんかが存在する。しかしこのマンゴーイチゴのせロール、けっこうおいしいのだ、悔しいけれど。

メキシコ人と話していた時に、日本の寿司と一般的にメキシコ人が目にするスシ、いわゆるカリフォルニアロールのようなものとは違う、という話題になったことがある。日本料理が好き、とか日本文化に深い、とか日本に行ったことがあるというメキシコ人は除く。

見た目が違うとか、生魚そのままシャリにのせる、とか巻き物でもフルーツは入れないとかはわかった、でも寿司は寿司じゃん、と。そこで私が放ったある一言で、彼らはああなるほど、それは違うわ、と納得したのである。

「例えて言うなら、普段食べているタコスとタコベル」

 

タコベルはメキシコ風アメリカ料理

念のため説明するが、タコベルはアメリカのファストフードチェーン。テクス・メクスというメキシコ風のアメリカ料理である。タコベルのタコスはパリパリのハードシェルに具を入れているが、メキシコではトルティーヤに挟む、というか包む。またタコベルのような具のタコスはない(はず)。

日本ではタコ Taco の複数形「タコス」というのが一般的であるが、メキシコでは「今日何食べるの?」「タコ」とか「タキート Taquito」などと言われる。ちなみにタキート Taco + -ito/ita は、スペイン語の指小辞という接尾辞の一種で、小さい、とか可愛いという表現のためにつけられる。

人によるが、多くのメキシコ人はさまざまな言葉、シーンでこの指小辞をつけるので、初めて聞いた単語だと思って質問したら、この -ito/itaをつけただけということが稀によくある。さらに余談であるが、ブリトー Burrito はスペイン語のロバ Burro + ito で、小さいロバという意味。いまこれを書いていて気づいたのだが、そういえば最後のトーは伸ばさないな、と。リにアクセントをつけてブリトと言っている。

タコスといえばメキシコ料理、メキシコ料理といえばタコス

第1回タコベルによるメキシコ遠征

前置きが長くなった。驚くべきことに、かつてメキシコにタコベルが存在していた時代があったらしい。

タコベルが初めてメキシコに進出したのは1992年のこと。メキシコシティに、ソフトタコスとブリトーを販売する屋台でメキシコタコス市場にのりこんだそうだ。

しかしここはタコスの国。タコベルは2年足らずで撤退。とある作家は、メキシコにアメリカのタコスを持ち込もうとしたことを「北極に氷を持ち込むようなもの」と表現したとか。わかりやすい。

第2回タコベルによるメキシコ遠征

しかしながら、タコベルはめげずにメキシコ市場に再挑戦。2007年、実に15年ぶりの開店である。テキサス州の南側、アメリカと国境を接するメキシコ北部のヌエボ・レオン州、モンテレイ郊外。

この2度目となるタコベルメキシコ進出ではアプローチを変え「私たちは本物のオーセンティックなメキシコ料理を目指しているわけではないですよ、タケリア(タコス屋)の競合相手ではないんですよー」と説明したそうである。

要するにメキシコのタコスとは違い、テクス・メクス料理ですよ、というのをアピールしたようである。メキシコのタコス、という言い方をしたら、メキシコ人に怒られるかもしれない。

メキシコのタコス

このモンテレイ1号店(2回目の1号店)、開店当初は意外にもウケたようだ。サイドメニューがウケたのかもしれないが。

しかしもう結果はお分かりであろう、2010年にタコベルはメキシコから再度撤退。この地で3年踏ん張ったのはなかなかすごいのではないか、と個人的には思う。だってどう考えても厳しい、タコス屋だらけよ?みんなお気に入りのタコス屋があって。

なお3度目の進出の予定はないとのこと。賢明な経営判断である。

とあるアメリカ人は「アメリカにメキシコ人がやってきて、我々にホットドッグを売ろうとしているようなものだ」と言ったとか言わないとか。その通り。いや、ホットドックはまだ形とか具が似ているけれども(味はともかく)、タコスは見た目も具も違うな。

タコスの日

さて、メキシコでは毎年3月31日がタコスの日 Día de Taco となっている。皮肉にも、タコベルが2度目のメキシコ進出をした2007年に、とあるテレビ局が始めたそう。

なお、アメリカのタコスの日 Nacional Taco Day は10月4日である。

さらにアメリカではタコチューズデイ Taco Tuesday 毎週火曜日にタコスを食べに行こうという習慣もあるとのこと。

冒頭の会話で登場したメキシコ人とは異なるが、別のメキシコ人になにかの流れでタコベルの話をした際に「あれはタコスじゃない」と言い放たれたこともあり大きな声では言えないが、実は自分はタコベルはタコベルで好きである。

めったに食べることはないが、というか食べられる場所がないのだが。中学生のときに初めて行ったアメリカで食べたタコベル、テレビのコマーシャルの歌は未だに覚えている。

正直、自分が若かりしころはあのパリパリのシェルに挽肉とトマトにキャベツ、チーズにサルサをかけたものがタコスだと思っていた。たこ焼きパーティーとは違うタコパといえば、あのタコスだった。

 

 

今となってはタコス屋で注文する際に「¿Maíz o Harina? マイス オ アリナ?」トルティーヤの種類、トウモロコシ粉か小麦粉か?と聞かれる前に答えるし、サルサはスペイン語でいうところのソースだから、サルサソースとは言わない、なんて宣うような大人になったが、かつてはメキシコのタコスなんて知らなかったのである。メキシコのタコス、という言い方をしたら、メキシコ人に怒られるかもしれない。一つ言えるのはタコスはうまい。

なおメキシコおよび中南米にはトスターダ Tostada というトルティーヤを揚げた、もしくは焼いたものが存在する。器状のものも存在するが基本的に平らで、この上に様々な具をのせて食べるが、タコベルのような形状のものは見たことがない、しかしメキシコ国内に存在はするらしい。

 

香川県に丸亀製麺が一店舗しかないように、メキシコにはタコベルがない。大分県にはケンタッキーがある。

 

最後に一つだけ、先日アメリカでタコベルに行き店内のタッチパネルで注文をした際に、たぶんレシートをメールで受け取るためにメールアドレスを登録したのだが、メルマガが毎週送られてくる。

解除したくてUnsubscribeをクリックしたのだが、まずアメリカ国外からだとアクセスできない。VPNで繋いて再トライしたところそのままホームページに飛びログインか会員登録しろと出てきてしまい、結局解除ができていないという。どうしたものか。

追記 : Gメールの機能、サブスクリプション登録解除をクリックしたらいつの間にか来なくなりました。

Netflixの「タコスのすべて」

Netflixのオリジナルシリーズ「タコスのすべて」のシリーズ2のなかに「アメリカン・タコス」というエピソードがあります。

タコベルのようなハードシェルタコスについての回です。

ご興味があればぜひ。

uchitosotoo.hatenablog.com